森博嗣 短編集

まどろみ消去

2007/09/13

+著書名 まどろみ消去
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 1997/07
+定価(税別) 760円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

著者初の、そして森ミステリィのエッセンスが全て詰まった全編書き下ろし短編集。

大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。
ビルの屋上に案内された参加者たちは、離れた建物の屋上で、三十人のインディアンが踊っているのを目撃する。
現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。
屋上への出入り口には見張りが立てられていたというのに!参加者たちはこの謎を解くことができるか!?(「誰もいなくなった」)

コメント

森先生の作品を、「Vシリーズ」→「S&Mシリーズ」と読んできました。
上記の二つのシリーズを結びつける重要な「四季(春・夏・秋・冬)」のシリーズは、これを更新した時点では未読です。

私が最も好きなショートショートの作家は、星新一先生です。
星先生の作品はほとんど読んできたのですが、随分昔からで量も多いのでHPにはアップしないかも(汗)
ずっと森先生の長編を読んできた私にとって、初めての短編集は案外違和感無く読めました。
一話一話が短いのでさっくりと読めるのが短編集の良いところ。
どれも長編に劣らない森ワールドが広がっていて、ファンならば絶対に楽しめる一冊です。

中でも「虚空の黙祷者」という作品がお気に入り。
夏の柔らかな世界観に、短編ながらまさに「ミステリィ」な一作。
あらすじとして挙げた、大学ミステリィ研究会のお話「誰もいなくなった」は、S&Mシリーズの主人公「西之園萌絵」とその仲間たちが登場する、ファンにとっては嬉しい作品。
読めば読むほど味の出る「純白の女」については、短編でここまで謎めいたストーリィとはさすが森先生です。
短編でも理系著者ならではの言い回しがあり楽しめました。
長編に比べてしまうと、キャラクター描写が非常に薄く感じますが、それも短編ならではの読者の発想に任せた構成で、これはこれでグーです。

地球儀のスライス

2007/09/27

+著書名 地球儀のスライス
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 1999/01
+定価(税別) 840円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

「黒窓の会」、西之園萌絵を囲んで開かれるその秘密の勉強会にゲストとして招かれた犀川創平は、古い写真にまつわるミステリィを披露した。
屋根飾りと本体が別々になった奇妙な石塔は、何のために作られたのだろうか。
S&Mシリーズ二編を含む、趣向を凝らした十作を収録。
『まどろみ消去』に続く第二短篇集。

コメント

森先生の短編集第二弾です。
前作よりも内容が濃く感じられたのは、S&Mシリーズの犀川創平と西之園萌絵が登場する作品が含まれているからです。
シリーズを読んできた人にとっては番外編の感覚で楽しめます。
S&Mシリーズお馴染みのキャラクターを懐かしむことができ、トリックほどまではいきませんが簡単な謎解き大会があります。
結末もあっと驚くかもしません!

お気に入りの作品はいくつかあります。
片方のピアス」は双子が登場するちょっぴり不思議な恋物語。
キャラクター描写も素敵でした。
素敵な日記」はSFチックな展開で、私としては大満足な作品!
この短編集「地球儀のスライス」で好きな作品は、「河童」です。
短編ながらここまでミステリィな展開を生むとは脱帽します。
登場人物の心理描写がとても深く書かれていて、全体を通してもすっきりとしたまとまりになっています。
短編集なので、忙しいときでも読めてしまうミステリィ。
おすすめです!
短編なのでキャラタクター評価は薄くなりがち(汗)

今夜はパラシュート博物館へ

2007/10/10

+著書名 今夜はパラシュート博物館へ
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2001/01
+定価(税別) 880円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

N大学医学部に通う大学生・小鳥遊練無は、構内で出会った西之園家の令嬢に誘われ、「ぶるぶる人形を追跡する会」に参加する。
その会の趣旨とは、N大内の各所に出没する謎の紙人形を観察するということだという。
ぶるぶる人形の謎を解こうとはりきる西之園嬢に対して、いま一つ気分が乗らない練無だったが…。(ぶるぶる人形にうってつけの夜)
他七編の森のミステリィの煌きを集めた珠玉短編集。

コメント

森先生の短編集も3冊読み終えることができました。
ぶるぶる人形にうってつけの夜」は、S&Mシリーズから西之園萌絵、Vシリーズから小鳥遊練無が登場し、ファンには嬉しい一編です。
ただ、ミステリィ自体はいまいちな感想でした。

一冊全てを評価すると低めですが、個人的に大好きな作品が「私はこの崖のアウトライン
これは、断崖絶壁が舞台で、男と青年の過去と未来が交錯する、ちょっぴり不思議なミステリィ。
絶壁の描写や、物語後半の驚きの展開の描写などがとても素晴らしいと思います。
ページ数も20ページだけですので、森博嗣さんのミステリィを味わうには最適な一編です!
是非書店で見かけたら手にとって読んでみてください。

卒業文集」も独特の手法で面白かったです。
出席番号と氏名が書かれて、まさに卒業文集のように様々な人物が、学校の先生に感謝の文を寄せているというものです。
読み直してしまうこと間違い無いラストでしょう!

レタス・フライ

2007/10/17

+著書名 レタス・フライ
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2006/01
+定価(税別) 880円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

西之園萌絵が叔母らと訪れた白刀島の診療所をめぐる怪しい噂に迫る。(「刀之津診療所の怪」)
長期の海外出張で訪れた某国の美術館で、"僕"が遭遇した不可思議な事件とは…?(「ラジオの似合う夜」)
ショート・ショート五編を含む透明感に満ちあふれた九編収録。

コメント

森先生の短編集を揃えようと購入した作品の一つです。
かなり短編なものが五作入っています。
「刀之津診療所の怪」はGシリーズの登場人物が登場するみたいですが、まだ未読の私にとってはいまいちピンとこない作品でした。

他短編集と比べると、ミステリィが楽しめる作品はあまり無いように思えます。
あくまで森ワールドのファンの方が楽しむための本であり、この一冊以外のシリーズものから森ワールドに入るといいかもしれません。
「証明可能な煙突掃除人」はちょっぴり雰囲気が好きでした! 都市伝説みたいなお話が好きな方はいいかも。
「砂の町」は終わり方がとても切なくて余韻が良い感じです。やはり森ワールドが好きな方は楽しめる一作です。
全体的に他短編集の方がミステリィ色が強いので、この一冊はいまいちかなという感想です。

関連リンク

森博嗣の浮遊工作室(別窓)
森先生自らが運営するサイトです。森ファンの方は必見ですね!