森博嗣 SandMシリーズ

すべてがFになる

2007/05/10

+著書名 すべてがFになる
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 1998/12
+定価(税別) 770円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第1巻。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季まがたしき
彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。
偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平さいかわそうへいと女子学生・西之園萌絵にしのそのもえが、この不可思議な密室殺人に挑む。
新しい形の本格ミステリィ登場。

コメント

時期としてはS&Mシリーズの第一作品目「すべてがFになる」がVシリーズよりも前に刊行されています。
私はこのS&Mシリーズを読む前に、Vシリーズを読んでいたのですが違和感は特に無かったですね。

大学助教授の犀川、その教え子の西之園、この二人が主役です。
Saikawa and Nshinosono 頭文字をとってS&Mシリーズです。
この一作品目だけでも二人のやりとりが見所がけっこうありますし、シリーズが進むにつれてどんどんハマっていきますね。

森先生が「理系ミステリィ」と称されるようになった作品、つまりその内容に注目された作品なわけです。
トリックが言われる通り、かなり理系ですね!
プログラミングの知識がちょっとあると、より一層楽しめると思います。
ストーリーがかなり斬新で、余韻が相当残りますよ!
Vシリーズもオススメですが、こちらのS&Mシリーズもかなり楽しめます。
ゲーム化もされているようです。こちらのデモムービーがかっこいいです!
すべてがFになる PS版

冷たい密室と博士たち

2007/05/10

+著書名 冷たい密室と博士たち
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 1999/3
+定価(税別) 680円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第2巻。

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。
だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。
被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。
究極の森ミステリィ第2弾。

コメント

「すべてがFになる」と比べられてしまいがちですが、なかなか面白かったです!
またまた密室なのですが、その舞台が低温実験室です。
私の大学でもこれに似たシステムがあるので、それを頭に思い浮かべながら読んでいました。
また、作品中に大学教授や大学生が多く登場するのですが、これがなかなか身近にいる人に似ている人ばかりで楽しかったですね。
大学って面白い人ばかりですので。私はどう思われているのかが気になりますが(笑)
大学研究室が舞台なんて森先生らしい作品だと思いますね。
犯人と犀川先生のちょっとした絡みのシーンがあるのですが、そこの描写が特にお気に入りです!

笑わない数学者

2007/05/10

+著書名 笑わない数学者
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 1999/7
+定価(税別) 730円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第3巻。

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。
そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。
一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。
犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。

コメント

この作品を読んでいるときに丁度ホームページを作ろうと思いまして、なかなか読み終えるのに時間がかかってしまいました(汗)
トリックがかなり簡単かもしれませんね。その点だけが残念なのですが、私はこの作品けっこう好きですね。
タイトルにあるように「数学者」が登場します。
このキャラクターを始めとして、大勢登場人物が出てくるのですが、それぞれがリンクしていたりトリックに大きく関係していたり、とそこが見所ではないでしょうか。

作品最後にちょっとした展開があるのですが、そのシーンが大好きで何度も読み直します。
「宇宙のはじまり」「神のトリック」などがテーマになっていることを頭に入れて読むと、ぐっと面白くなると思います。
豊富なキャラクターの展開力にキャラクター★評価高めです。
ストーリーはトリックが簡単なのでちょっと低めの★2つです。

詩的私的ジャック

2007/05/27

+著書名 詩的私的ジャック
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 1999/11
+定価(税別) 730円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第4巻。

大学施設で女子大生が連続して殺された。
現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。
捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。
N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する。

コメント

主人公の一人である西之園萌絵が大学生であるので、今回も大学が舞台ですね。
このシリーズの魅力は、キャラクターの成長が描かれていることも魅力の一つですね!
森先生の代表する別のシリーズ「Vシリーズ」でも大学生が登場しますが、作品を通して彼らの学年はほとんど上がっていません。
西之園萌絵と犀川創平の関係というか進展というか……、そのところが書かれている作品で、今後の展開が楽しみですね!
ストーリーは、ロックスターが登場し、その有名な曲の歌詞通りに連続殺人が起きる。
比較的わかりやすいストーリーですらすら読めるかなっと思いきや、事件の時系列が行ったりきたりして、森先生の他作品と比べると少し読みづらかったかもしれません。
しかし、ミステリィはすごいですね、今回はすごいというより美しいかもしれません!

殺人犯が殺人をする理由、夢と希望とは何か、そういった哲学的な内容も盛り込まれた美しい作品です。

封印再度

2007/06/17

+著書名 封印再度
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2000/3
+定価(税別) 820円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第5巻。

50年前、日本画家・香山風采(ふうさい)は息子・林水(りんすい)に家宝「天地の瓢(こひょう)」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。
不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。
そして今度は、林水が死体となって発見された。
2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る。

コメント

森先生の言葉のマジックがタイトルに光っています。
封印再度―WHO INSIDE
英語表記のサブタイトルも、声に出して読めば「フゥ インサイド」となります。
凄いことに、森先生は日本語タイトル、英語サブタイトル、両方ともしっかりストーリーに絡んでいるという点です。
シリーズも中盤の第5巻。
今回の事件はなんと50年も前の事件に、犀川・西之園コンビが挑むというお話です。
残された2つの家宝が事件とどう関係しているか? そこに残されたメッセージとは?
密室事件と家宝のカラクリが2つ同時に楽しめる作品に仕上がっています!

今回注目すべき点は、物語序盤の犀川と西之園萌絵のクリスマスの展開!
二人のラブストーリーチックに話が展開していく様子、萌絵の犀川への反応、犀川の萌絵の反応。
ここが見所ですね。
二人とも完全な理系人間であり、そこを生かした森先生ならではの話の進行はかなり読み応えがありました。

もう一つはなんといってもS&Mシリーズ中、異様なまでの冷徹キャラクター国枝桃子
ロボットか? と今までは思われてもおかしくない人格が、いよいよ動いてきます!
強烈なキャラクターは時に、物語の引き立て役であり、印象に残る情景を生み出してくれます。
なんとも魅力的です!

トリックは、すっきりと犀川が解き明かすところはさすが! かっこいいです!
単なる密室事件を描かないところが森先生らしい、そんな作品です。

幻惑の死と使途

2007/06/25

+著書名 幻惑の死と使途
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2000/11
+定価(税別) 820円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第6巻。

「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」
いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。
しかも遺体は、霊柩車から消失。
これは匠幻最後の脱出か?
幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。

コメント

あとがきはあの有名な、引田天功さんが書いています。
彼女がその中で、この作品を「イリュージョン・ミステリィ」と称しています。
まさにその通りでしょう!
事件は大勢の人が見物しているマジックショーで起こります。
そして、事件後の遺体までもが消滅するという、まさにイリュージョン・ミステリィ。
今までのS&Mシリーズの中でも、かなりテンポがよくすらすらと読むことができました。
マジシャンが何人も登場し、ミステリィでありながら幻惑の魔法の世界に引き込むような作品です。

この作品、実は次回作のS&Mシリーズ第7作品目「夏のレプリカ」と同じ時系列にあるのです。
それが作品中にも森先生の言葉で少し書かれています。
それを表すように、この作品は全て奇数章で書かれているようです。
1章、3章、5章……といった感じです。
さらに、それぞれの章の名前もちょっと捻ってあります。
「幻惑の死と使途」は章タイトル全てに「奇」が付き、「夏のレプリカ」には章タイトル全てに「偶」が付きます。
例えば……
「幻惑の死と使途」1章 奇趣の予感
「夏のレプリカ」 2章 偶発の不意

のように章タイトルだけでも楽しめます。さすが森先生ですね! 今回は先が読めない展開に、意外すぎる犯人……。
壮大な殺人計画と予想できない殺人者心理。
個人的に大ヒットな作品です。
イリュージョンに興味がある方は必読です!

夏のレプリカ

2007/07/23

+著書名 夏のレプリカ
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2000/11
+定価(税別) 733円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第7巻。

T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。
眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。

コメント

前作の「幻惑の死と使途」が奇数章しかないのは、今作品の「夏のレプリカ」が同じ時系列で起きているからです。
二つ合わせるとかなりの長編ですが、交互に読んでも面白いかもしれません。
萌絵の友人蓑沢杜萌が主人公として書かれています。大きなトリックが登場せず、好き嫌いがはっきりわかれるかというとそうでもないです。
森先生らしい展開と、美しい心理描写はやはり必見です!

誘拐事件は森先生の作品でも珍しいので、読み応えがあります。
盲目の詩人が登場し、作中も詩的な構成の文章がちりばめられています。
ラストの展開は素晴らしいの一言です。
ひと夏の記憶がテーマのミステリィ。季節の描写も美しいです。
前作とつながっているので、間を置かず一気に読むことをおすすめします。

今はもうない

2007/08/02

+著書名 今はもうない
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2001/03
+定価(税別) 762円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第8巻。

避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で一人ずつ死体となって発見された。
二つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。
遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が…。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。
S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。

コメント

前々作から引き続き夏が舞台のお話です。
同時に起きた密室事件。ミステリィとしてはありきたりながらも、読みながら推理していてもなかなか難しいトリックでした。
物語は第1幕から第3幕、そして最終幕と構成されていて、その間に時系列の違うできごとが書かれています。
ミステリィというか読書に慣れていない者にとってはやや難しい展開かもしれません。そして、何よりこのシリーズを通して読んでいないと意味がよくわからないかな、と思います。
トリックを推理しながら読み進めるドキドキ感が、第8巻目にきてもここまで楽しめるとは、さすが森先生です!
一文一文が最後になるにつれて判明していく感じで、何よりS&Mシリーズでは異端とも言えるストーリーです。
好き嫌いがはっきりわかれるかもしれませんが、最後にはきっと騙されることでしょう。
夏の季節の描写にも注目です。

数奇にして模型

2007/08/26

+著書名 数奇にして模型
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2001/07
+定価(税別) 933円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第9巻。

模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。
死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。
同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。
複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。

コメント

S&Mシリーズもいよいよ残すところ一冊となる第9巻目です。
しかしながら、新しい登場人物が二人も登場します。
一人目は、「大御坊安朋」という主人公である犀川創平と同級生にして模型マニア。そして、デザイナー関連の仕事の影響か女性的なキャラクターです。
よくTVで見かける「オカマ」っぽいキャラクターを想像していただけると良いかも。
そんなキャラクターが理系ミステリィに登場するのだから驚きです!

二人目は、「反町愛」という主人公の西之園萌絵の同級生で、ハツラツなお元気娘。
明るいながらも自己中心的なところもあるが、どこか憎めないキャラクターです。

シリーズの後半ながらもこのような登場人物に加えてヒートアップする密室トリック。
森先生といえば密室なのですが、読みながら謎を解こうとしてもなかなか解けないところが素敵です。
今回のトリックは理系チックなものではありませんが、犯人とのちょっとしたアクションシーンが見所です。
殺人犯の心理的描写がとても印象的で、心に残ります。

有限と微小のパン

2007/09/08

+著書名 有限と微小のパン
+ジャンル ミステリィ
+著者名 森博嗣
+出版 講談社
+発行年月 2001/11
+定価(税別) 1143円

ストーリー
キャラクター
総合評価

基本情報・あらすじ

犀川創平&西之園萌絵シリーズ、通称S&Mシリーズ(全10巻) 第10巻。

日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。
パークでは過去に「シードラゴン事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。
萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。
核心に存在する、偉大な知性の正体は…。
S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。

コメント

驚いたのがその厚さ! 文庫本としては厚すぎる860ページです。
京極夏彦先生の文庫本も厚いことで有名ですが、森先生の作品の中では最長編です。
全10作品、S&Mシリーズの完結作品だけあって、これだけ長くても飽きさせない展開になっています。

第一作品である「すべてがFになる」から始まり「有限と微小のパン」まで、作品中の時間にして四〜五年間のキャラクターの成長が見事に表現されています。
間の八作品はすべて、この完結編へ続く伏線になっているように思えます。
タイトルからもわかるように、
「すべてがFになる The Perfect Insider」
「有限と微小のパン The Perfect Outsider」

この二作品は対になっており、その間に時間とともに八作品が盛り込まれているシリーズです。

連続殺人事件、密室殺人、暗号、天才プログラマ真賀田四季と犀川&萌絵の勝負。
様々ななトリックが仕込まれているので、長編を読んでいるという気がしませんでした。
詩的な表現が盛り込まれており、理系の著者ならではの比喩も読み応えがあります。
ラストの締めくくりは何度も読み返したくなるほど美しいです!
「ミステリィ」を読もうと思っている方で、理系のお話が好きな方は絶対に好きになる。それがこのシリーズでしょう。
「理系ミステリィ」作家として有名な森先生の代表作である「すべてがFになる」を読んで、気に入った方は是非この完結編までの十作品を揃えてみてください!
第一作品「すべてがFになる」、第二作品「冷たい密室と博士たち」はコミック化されています。
原作が素晴らしいだけに、コミック化の続編にも期待したいです!

関連リンク

森博嗣の浮遊工作室(別窓)
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